NBMAと築地ジョガーズの夏合宿に参加させて頂き誠にありがとうございました。

私自身今回が3回目の参加となりましたが、昨年までは宴会がメインであり、1日目は美味しいビールを飲む為に。2日目はアルコール抜きの為といういい加減なスタンスで臨んできました。

しかし今回はレース・スケジュールなども鑑みて、走りの方にも真面目に取り組みましたが、そのお陰でいつも以上に美味しいビールが頂けました()

特に1日目の練習の最後に行った、ブラインド体験を兼ねた伴走練習では、今までに経験した事のない色々な発見や気付きがあり、とても有意義でした。

アイマスクを装着して全く何も見えない状態になり、ブラインド・ランナーの立場になって伴走者と共に走る練習です。

私は気心の知れた親友である天野守さんとペアを組み、交代で立場を入れ替えて走る事になりました。

まずは私がアイマスクを装着して天野さんに伴走をしてもらいました。生まれて初めての体験ですが、まず1歩目を出すのが大変怖く感じました。

天野さんに「道路の真ん中にいるから大丈夫だよ」と声を掛けてもらいましたが、どうしても2歩目、3歩目がスムーズに出ません。

暫く歩いてから恐る恐るゆっくりと走り始めたのですが、ここでちょっとした道路の凹凸に躓き、いきなり体勢を崩してしまいました。

恐らく普段一人で走っていたら全く気にもならない程度の轍であり、私が誰かの伴走で走っていたとしても特に注意を促さなかった程度の軽微な段差だったと思います。

これは私の走り方が元々摺り足気味だったのと、恐怖心から足が上がっていなかったという2つの理由が挙げられると思います。これ以降はとにかく足を上げる事を注意して走りました。

もしかすると、ブラインド・ランナーの皆さんは自然とこのように足を高く上げる走法が身に付いているのではないかと想像しました。

これは摺り足走法に比べて膝や腰などに掛かる負担が大きいので、ウルトラマラソンなど距離が長くなるほど不利になるのではないかと思いました。

今日体験した練習コースは、12kmの間にアップダウンがかなり多いのですが、平衡感覚を失っていたのでしょうか?走っていて登っているのか下っているのか、全く見当が付きませんでした。

パートナーの天野さんは伴走する事自体が初めてでしたが、最初のうちは私よりも前方に位置し、ロープで引っ張るような感じで伴走していたようでした。私は自分自身の事で精一杯でしたが、途中からその事に気が付き、私よりも前に出ないように促し並んで走ってもらいました。

すると何故か今まで感じていた恐怖心が少し和らいだような気がしました。恐らくロープを引っ張られていた時は「そんなに速く走ったら何かにぶつかってしまうよ」と、身体が勝手に思い込んで抵抗感を抱いていたのかもしれませんが、私と平行して走ってもらい、自発的に前に進まなければいけない状況になると、自分自身の注意力がより一層喚起されるようで、この方が安心感があり、少し走りがスムーズになった気がしました。

やはり伴走者は相手の「目」になる事が役割であり、走り自体を補助しようとすると却って余計な神経を遣わせてしまうという事が理解できました。

この日は晴れたり曇ったりを繰り返す天気でしたが、途中背中に強い日差しを感じ「いま晴れているんだね」と天野さんに確認しました。

普段は空を見上げればすぐに天気を確認できるので、日差しで天気を知る事はないですが、こうして身体全体を使って色々な情報をキャッチしようとする能力が人間には備わっており、ブラインドの方々は視覚を補う為に触覚、聴覚、嗅覚、味覚など、私などよりも数段優れているのだろうなと思いました。

恐らく1km7分を超えるようなペースで何とか無事に2kmのブラインド体験を終える事ができましたが、今までで一番長くてスリリングで疲労感一杯な2kmだったと思います。

慣れもあるのでしょうが、この状況でフルマラソンや100kmマラソンを走ってしまうブラインド・ランナーの方々は改めて凄いなぁと感心しました。

私自身今回の状況で42km走るよりも、一人で200km走る方が断然楽に走れるのではないかと思いました。

伴走者はある程度の走力も必要ですが、相手の「目」になって周りの状況を把握し、素早く危険を察知するなどのスキルも求められます。またロープ伝いに相手の状態や気持ちを理解する想像力も必要だと思います。

今まで私は「見えないという事はどういう事か?」を想像するのが精一杯でしたが、今回の体験を踏まえて「見えない状況の中で相手が何を考えているのか?」というように、今までよりも一歩踏み込んだ状態を具体的に想像できるのではないかと思いました。

今回の体験は色々な意味で勉強になり、今後私自身の伴走の幅が広がっていくような気がしています。

また今回に限らず、色々なところでこのような練習会を実施できれば、伴走やブラインド・ランナーに対する理解が、今よりもっと広がるのではないかと思います。

改めて今回は素晴らしい練習会を企画して下さりありがとうございました。

今後ともよろしくお願いします。

 

 

201393

関家良一